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までドウゾ!

先週の京都行きでの「京都ギャラリー」のこけら落としの展覧会では、巨匠ヨセフ・スデクを筆頭にして、その他3人(私とサカイさん親子)の1950年代に始まるモノクロのヴィンテージプリントの展示を見たわけです。
写真家を長くやっている自分の口からこういうことを言うのも変なのですけど、写真というのはやはり銀塩で撮影されたもの、つまりフィルムで撮影された画像はデジタルプリンターで出力されたモノを鑑賞するのではなく、ケミカルなプロセスで処理された画像を見るのが本式であり、本当の鑑賞の道であろうと思います。

なぜ、そうなのか?
これは実際に京都ギャラリーで実物の展示を見ていただく以外にありません。
私の場合、写真という素材は何時も見慣れているわけですが、普段ミュージアムに収蔵されているオリジナルプリントをストレージボックスから取り出して見るのと、ちゃんと額装されたニートな空間に展示されているのとは、やはりそこに趣が異なるわけで、ちゃんと展示されている状態は、まあオリジナルプリントの晴れ舞台というわけです。

ところで今回の京都ギャラリーでの展示で触れておきたい点は出品作家は皆、そのモノクロフィルムの入手に苦労しているという点です。
スデクとサカイさん(父親)は、1890年代のパノラマコダックという10X30セントの大きさの画面を撮影するパノラマカメラを使っています。
そのカメラ用のロールフィルムは1947年と言いますから、私の生まれた年という大昔にすでに製造中止になっていて、スデクがパノラマコダックをプラハの技術歴史博物館から手に入れた時にはもうフィルムは手に入りませんでした。
それでスデクは当時、まだプラハの街で手に入った30X40センチのフィルムをパノラマカメラのサイズに切って一枚、一枚暗室で装填して使用したのです。
サカイさんの場合も同様です。

サカイさんの息子さんの場合は11X14インチという、これも普段は手に入らないフィルムを使う、超大型カメラを使っています。これはカリフォルニアの大型カメラメーカーが、そういう真面目な写真家の為に少数生産しているモノクロフィルムを入手したのです。
以上の2つのフィルムの苦労に比較すれば、今回、京都ギャラリーで展示した私の作品はひとつは35ミリの東京でのライカのスナップですし、も一つはニューヨークでの8X10カメラによる風景写真ですから、フィルムは今でも手に入るという意味で何の心配もありません。

クラシックカメラのコレクターさんは、カメラを手に入れると実際にそのカメラで撮影をしたくなるのは、これは人間の欲望の常というやつで、それを写欲と言ったり、製作欲と言い換えたりするのですが、そういう欲望は大事にすべきです。
しかし、ここにまた障害が発生するのは、クラシックカメラファンが手に入れるカメラで120フィルムと135フィルムは簡単に手に入るのですが、127とか620とかバンタム版とかそういう昔のコダック全盛の時代の規格のフィルムはとっくに存在していませんから、そこで各種のフィルムの入手に苦労することになります。

幸い、127(ベストサイズ)は今でもクロアチア製のフィルムが手に入りますし、620(ブローニーの細巻き)は、そのスプールに巻き変えたのを売っていますが、620のスプールを手に入れれば、暗室で120フィルムを620に巻き変える高等技もあります。
さらに日本では手に入らない昔のコダックの規格のロールフィルムを扱っている専門のウエブサイトもあるので、どうしても昔のカメラを使いたい向きには、朗報です。
しかしそれらのフィルムは量販店で売っているフィルムに比較してとても高くつきますから、そこら辺を覚悟する必要ありと言えるでしょう。
デジカメのメモリならCFとかSDとかの規格が合えばどの機種にも転用可能ですが、クラシックカメラはそうは行かない所とに、また挑戦のし甲斐があるわけですね。

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